2008年9月11日木曜日

インターネットの未来


今年に入ってから、クラウド・コンピューティング(Cloud Computing)という単語をよく目にします。
クラウドとは「雲」の意味で、ネットワーク図で、よくインターネット網を「雲」で表現することから来ているようです。


最近、なにかと話題のAppleのiPhoneや、近々出てくるであろうGoogleのAndroidなど、アメリカ発モバイル業界が狙っている、端末とアプリケーションとデータの理想的な形と思われます。
イメージはこうです。
アプリケーションやデータをインターネット上のサーバに保管し、端末は空同然にしておきます。利用者は、インターネット上である「向こう側」のアプリケーションを自由にチョイスして使うことができ、データも「向こう側」に保管されます。端末は最低限のスペックで提供され、壊れたり紛失してもデータは守られます。

Googleはさらにこのアプリケーションを誰もが自由に作れて、誰もが提供できるマーケット要素の強いサービス(Google Android Market)の公開を計画しているようです。

去年「Web2.0」などと表現された、Webの活用形態の進化形だと思います。「Web2.0」ではインターネット上で提供されたサービス(API)を呼び出して、使い手(ブラウザ)の可能性を広げていく考え方ですが、クラウド「雲」では、これがよりオープンになっていく感じです。

音楽、ゲームをダウンロードするのと同じように、(ただしコストがかからずに)あらゆる分野のサービスやアプリケーションを、必要に応じて自由に取得して使うことができたら。。
しかもそれが、オープンソースの台頭のように、世界の開発者たちの貢献で広がっていけば。。きっとインターネット・コンピューティングの常識は変わるでしょう。


このような構想は、1996年ごろにOracleがNC(Network Computer)という商品名で、一般家庭をターゲットにした戦略で、脚光を浴びたコンセプトと同じです。
NCは当時、PCを格安にして機器もシンプルにしようという発想で、価格5万円程度で、CD-ROMやHDDなどストレージを持たないPCとして登場しました。
アプリケーションはダウンロードして利用し、ユーザはコンピュータに対する知識がなくても使いこなせる、という発想です。(Oracleのチャレンジはいつも魅力的です)
しかし、当時のネットワークの回線速度とアプリケーションの使い勝手が問題で普及することはなく、Oracleは撤退を余儀なくされた記憶があります。

僕は、当時、ある展示会でNCを触った記憶があるのですが、もしこれが普及すればWindowsはなくなるな、と思ったものです。MSはスタンドアローンのアプリケーションに力を入れていたわけですから。


今の日本のインフラ事情と、Googleの台頭、ユーザのリテラシーを考えると、このクラウド・コンピューティングには大いに期待しています。

Googleはきっとクラウド「雲」を、全世界の人に提供できるだけの容量と速度を確保しようと、全米に巨大なデータセンターをいくつも持っている(持とうとしている)に違いありません。
ひょっとしたらPC、モバイル問わず端末のOSをも自由にチョイス、カスタマイズできるようなサービスも考えているのでは、と想像します。

もしOSを自由に選択できる仕組みがあれば、その用途に合わせて、個人向け、特定業務向け、子供向け、などなどセキュリティも考慮された、より特化した使いやすい端末に仕上がります。
インターネットを介してOSをカーネルレベルで、容易に自由に安全にカスタマイズできる時代がやってきたら。。
技術的には非常に興味があります。そのころはもうOSとは表現しないかもしれません。