2008年9月4日木曜日

パラダイム・シフト

パラダイム・シフトとは、発想の転換という意味です。簡単に言うと、今までの古い見方から新しい見方に変わることを指します。

私が20代前半に働いていた会社の社長さんが、研修会などで、社員の前で口にしていた言葉ですが、当時、なんのことやら、と思っていました。
最近、その意味がようやく実感できるようになりました。


少し前にあったことです。

ある仕事の打ち合わせの場で、弊社が提案したシステムの仕様に関して、こんなやりとりがありました。
私は、「この仕様がもっとも効果的で実績もあります。」是非、採用してほしい、と交渉していました。
自信もありましたし、承諾してもらえるだろう、とも思っていました。

しかし、この仕様では思いもよらない状況で、役に立たなくなることが判明し、お客様は、「この仕様では使えない。あなたのシステムは重要な部分が欠けている。」と跳ね返してきました。ムッとしました。
事実、それはかなり稀有なケースで、仮にあったとしたら、システムの継続はできないだろうと判断するのが通例でした。要求される仕様に対応するとなると別途工数がかかり、お客様の指摘をまっこうから受け付ける余裕はありません。
前の自分ならば、このケースはシステムでは救えません、と言って押し通すか、変更するために工数を上乗せするか、といった能のない選択をしていたと思います。

つまり、システムの想定外の事象を固定観念として決め込んでいたに過ぎないということです。

しかしそのときは、あ、そういう意見も新鮮で貴重だな、と客観的に感じ、対応するしないは問題とせずに、「わかりました。」と受け止めました。
お客様の視点は、システムの開発都合ではなく、システムを導入することで生じるメリットやデメリットを、ケースバイケースで判断している、ということが本当の意味で理解できました。
お客様の視点に立ち、最善を尽くす姿勢を打ち出したところ、お客様の表情や態度が一転し、より親身に好意的に打ち合わせを進められる雰囲気が作られました。

そのとき感じたのは、何が一番大切なのかを考えて、過去にとらわれないパラダイム(発想)を選択する重要性でした。
発想の転換を、人からこうだ、こう変われ、と言われても本当の意味での理解はできません。自分の身で気がつき、そうだ!こう考えよう、と努力をすることで、本当の意味のパラダイム・シフトとなるのではないでしょうか。気持ち次第でいくらでも人生は変えられるということです。

人は自分自身で本当に変わろう、と行動しない限り、変えることはできません。人からどれだけアドバイスを受けても、本当の意味で自分の精神に響かなければ、行動は起こしません。
ひとりひとりが、何かをきっかけに、今と違った見方を感じることができれば、今よりももっと大きく躍進することができると確信しています。