2008年11月24日月曜日

人を大事にすること

先週のニュースですが、米サンが昨今の景気後退に伴い、大規模なリストラを実施するようです。調べてみるとサンは恒例行事のようにリストラを行っているようです。

この辺りがアメリカのドライな経営手法の表れですね。従業員側もそのリスクを背負って報酬を受け取っているのでしょう。日本とアメリカの文化の違いなのでしょうか、日本でリストラを慣行している会社など聞いたことがありません。人を人材と捉えるよりも財産と捉える日本的風潮はいい意味で変わらないと思います。信じます。

もっともアメリカのリストラはレイオフ(日本でいう一時解雇)といってあちらの企業経営においては通例となっているようですが。

アメリカとは不思議な国です。少なくとも今、我々のいるコンピュータの世界は、ほとんどがアメリカで作り上げられた技術です。Java、UNIX、DBMS、HTML、インターネット、オープンソース。もちろん歴史の中では他国、あるいは日本の功績もあると思いますが、多くのキーワードはアメリカ人の発想です。自由な風土と開拓精神がこの技術革新を呼び起こしたのか、国防という軍事的優位を追究した成果なのか。

僕自身もゼロからの発想、アイデアがないものかと渇望しますが、これがなかなか。。

企業経営として、人を大事にする考え方に否定論はないと思います。アメリカでも日本でもコロコロと仕事や環境を変えることが良いとは誰も思っていないでしょう。しかしここで考えたいのは、会社が人を大事にするということは、どんな苦境でも解雇しないということではないということです。

人を大事にすることとは、その人の持つ本来の可能性を信じ、人との相乗効果を生む環境、仕事を提供することではないでしょうか。そうすることで、会社も人も成長し、人生観に良い影響を与えることができるというものです。仕事や会社に不満を持ったまま日々を生活することほど、無駄なことはありません。

今こう考えます。

2008年11月19日水曜日

自覚

いい言葉に出会いました。

「自覚した凡才は才能を過信した秀才より前向きな生き方ができる。」(久恒啓一

僕なりに解釈すると、人生には才能よりも、気づきと変革が大切だということです。

最近思います。いつかやろう、暇になったらやろう、などと言っている限りは自覚とはほど遠く、ただ流れているだけです。過信した才能は年を取れば取るほど無用になるというものです。

今、忙しいときですが、こういうときこそブログを更新しよう。。

2008年11月12日水曜日

火星派遣団は全員で

常々思っていることですが、仕事において行動の中心に置くべき企業理念はどう構築するべきなのか。このテーマを考えるにあたり、「ビジョナリーカンパニー」で表現されていた言葉で「火星派遣団」というのを切り口に考えたいと思います。

これは、企業理念を練り上げる作業において、誰がその議論に加わるべきか。火星で会社を立ち上げると仮定したときに、より色濃く会社の遺伝子を継承している者が参加すべきで、宇宙船に乗れるぐらいの人数に絞ることが適切だという意味です。

しかし僕はできることなら、会社に属する全員の参加をもって、議論したいと考えます。

そうすることで、(1)みんなの個人としての価値観をお互いに共有することができ、(2)その共通項を見出す作業において、理解し合い、(3)新しい考えを発見することにつながると思うからです。この共同作業によって議論の深みと一体感が生まれると思うのです。数が多すぎてまとまらないならば、納得がいくまで時間を掛ければいいと思うのです。非常に楽しい時間になります。

しかし、議論するにはそれ相応の準備が必要です。理念をみんなで話すという異色性を理解し、自らの心の思いを話し、人の話しにも深く耳を傾けることができる必要があります。もしこれらができなければ、いくら話し合っても時間の無駄というものです。

話し合う前に全員の意識レベルを底上げし、少なくとも自分の存在理由、大切なもの、何のために働くか、将来どうなりたいか、などの基本事項を自分なりに整理しておく必要があると思います。各人が時間を掛けてそれを準備し、明確にすることではじめて理念を作り上げるための議論ができると思うのです。その過程すべてが会社にとっての財産になると信じています。

そして理念としての言葉は、状況に応じて変わるようなものではなく、不変性を基準にしたシンプルな言葉であればよいと思うのです。

このようなことを考えて、これから1年かけて、みんなで理念を考えていこうと思っています。


2008年11月7日金曜日

Small is Beautiful

UNIXの開発者である、ケン・トンプソンとデニス・リッチーはその設計理念のひとつに"Small is Beautiful"(小さきことが美しい)を掲げています。これはマイクロカーネルと呼ばれる考え方の原点です。

デバイスも含めてリソースをファイルという概念で捉えることや、標準入出力、パイプ、シェルなど、UNIXの特徴はコンパクトなOSとしての機能実現が根底にあります。この考え方は、高度なコンピュータの実現を、より複雑な構成で実装しようとする考えとは逆で、よりコンパクトに構成したものをシンプルにつなぎ合わせて高度なものを実装しようという美学です。

コンピュータの世界では、要求される機能を、定義・設計するときに、あるがままを複雑に捉えてしまうことは、往々にして扱いにくいものになりがちです。複雑な事柄も突き詰めていけば簡素で分かりやすいことだったりします。つまり「木を見て森を見ず」的な局所にこだわるのではなく、全体像から本質を見抜く力を養うことが大切です。複雑なことも、細分化すれば案外、単純なことの集合だったりします。


実はこの言葉、E.F.シューマッハのスモール イズ ビューティフル―人間中心の経済学(1973年)からきています。

人類の物質至上主義を警鐘し、最小の活動こそが経済繁栄と自然生態系の共存の道であると説きます。今の時代のエコやロハスと同じ考え方です。人間はいつになっても同じことをやっているのですね。

これは70年代アメリカの反戦運動、自然回帰、ヒッピー文化につながる考え方のひとつだと思いますが、それまでのコンピュータの固定観念からの離脱であり、UNIXがオープンと呼ばれる由縁でもあります。

開かれた技術革新とシンプルな思想が美学を生むということです。


アメリカはオバマ政権に交代しますが、これを機に「小さく考えて、シンプルに生きる。」ことに価値を見出してほしいものです。


2008年11月5日水曜日

タイムシェアリング

「時間がない」と言います。ですが1日は24時間、平等に与えられています。

分かっているけど、やることが多くて忙しいときには特に言いがちです。時間があっという間に過ぎてしまう感覚です。

いかに上手くそこにある仕事を片付けるか。


さて、作業を管理するにはTODOリストを作ることが基本です。しかもこれ以上分割できないというような最小の単位のTODOを作ります。大きな仕事もよくよく考えると小さな仕事の集合です。

常に心がけていますがなかなか。。

ここに優先順位という概念を取り入れ、より優先度の高いTODOから順番に作業していきます。タイムシェアリングの考えです。複数のタスクを時間分割し優先度の高い順に処理されるように、仕事の断片を毎日少しづつ消化します。

コンピュータの概念は人間の知恵の賜物です。あたかも同時に実行されているように見えるマルチタスクも実際は細かく分割された時間の刻みの集合です。CPUは瞬間的にはひとつの仕事しかしていません。他のタスクは待っているのです。

人も同時に複数のことはできません。ひとつの関心事に集中し、その連続が大きな仕事を成しえるのです。早く終わらせたい仕事は、その仕事のTODOを優先してより多く処理するようにします。

重要なのは、やるべき仕事の作業を最小限の単位で細分化したものをひとつのTODOとして決めることです。このTODOが簡潔であればあるほど、消化したときの進みが速く感じて効果的です。

今は仕事の谷間なので、こうやって頭をすっきりさせますが、忙しくなったら実践できるか。。永遠のテーマです。


2008年11月3日月曜日

ドストエフスキー

きのう、子供の観ていた「サザエさん」を何気なく一緒に観ていたら、波平が「罪と罰」を読んでいて「昔読んだときよりも、ずっとスラスラ読める。それだけ歳を取ったのか」というようなことを話すシーンがありました。

僕も大学受験の頃、暗い青春を演じて、なんとなく読んでみたものです。むずかしかった~。あの頃からは十分時間が経ったのでスラスラ読めるかも。古典文学の新訳ブームですし。

 

選ばれた天才の個人的価値観は、大衆を超越してコントロールすることが許される、という人間の欲と良心の呵責を題材にしています。

この話は、どこか現代社会の偏った風潮にも通じている気がします。豊かさの象徴である富は、その分配ルールを決めた一部の選ばれた人間に、より多く流れていくという構造が、自由経済という名のもとでシステマティックに確立しているという点です。まるでピラミッドの底辺は頂点を支えるためだけに存在する、と言っているようです。ラスコーリニコフのようにいずれは考えを改めないことには社会は崩れます。 

【訂正】いえ、改めるというよりは、その成り立ちは不公平だとネガティブに捉えるのではなく、いいこともあるさ、と前向きに考えたほうがいいというものです。なにしろ不満を口にするだけでは取り巻く環境は変わりませんから。

変えようとする勇気が大切です。