2008年10月22日水曜日

ビジョナリーカンパニー

ビジョナリーカンパニーとは、ビジョンを持っている、先見的な、業界で卓越している会社のことを指します。本書では、目先のことにとらわれない原則(理念)を持ち、一貫性のある進歩が会社を繁栄させると説いています。

時を告げるのではなく、時計をつくる」という言葉が印象的です。

カリスマ的な経営者がすばらしい言動で組織を導くことは現時刻を正確に「告げる」ことであり、一方でひとりの指導者の時代を超えて組織が繁栄し続ける会社を築くことは現時刻を告げる「時計をつくる」ということを表しています。時計(仕組み)をつくることの方が、その組織にとって、将来に渡って意味のある仕事を残すことができるということです。

その繁栄し続ける会社を築く要素には、利益を超えた動機付け、継続的な進歩、自主性と失敗を恐れない寛容さ、奮起する大胆な戦略、価値観を共有できる組織作り、決して満足しない精神、などがあり、原則(理念)を中心に行動を起こす大切さを改めて考えさせられました。勉強になる本でした。

そして「変化か安定か」「低コストか高品質か」「利益か理想か」といった相反する考え方をどちらか一方しか実現できないと判断するのではなく、両方を同時に追求する方法を考える、というポジティブな力強さが大切です。二兎は追えない「これしかない」と言うよりも「これとこれは同時にやる」というある種の欲張り的な肯定論のほうが魅力的です。

僕も基本的に"Never give up"が好きなので、この本は非常に共感できました。

ただ、ここにはどのような理念を作るべきかは触れられていません。

一言でいえば、ビジョナリーカンパニーの理念に不可欠な要素はない。わたしたちの調査結果によれば、理念が本物であり、企業がどこまで理念を貫き通しているかの方が、理念の内容よりも重要である。

と書いています。つまり、絶対なる大儀や善の理念が必要なのではなく、組織に浸透し活力となりうる身の丈に合った理念を持つということの方が重要だということです。