2009年11月7日土曜日

イメージからアイデアを

教育心理学者であるウィン・ウェンガー氏が著書「頭脳の果て」の中で創造的問題解決法として紹介しているイメージ・ストリーミング。

今年のマイ・ベストにエントリーされる本である。

創造的問題解決とは、言葉のとおり問題を創造的に解決しようとするもので、頭のなかに浮かぶイメージを明らかにすることで、潜在的なアイデアを掘り起こし、なかなか解決しない問題に新しい切り口で対処しようと試みる手法だ。

我々の周りに横たわるなかなか解決しない問題には例えば次のようなものがある。

  • 今後3年のうちに売上高を倍増するためにはどんな戦略があるか?
  • 新しい製品・サービスをどういうコンセプトで打ち出していけば成功するか?
  • 我々の存在意義はなんであり、どのような使命があるのか?
  • 社員の生活を豊かにするための具体的な方針は何か?


挙げていけばきりがない上記のような問題は、今日明日で解決しなければならないほど緊急ではない。しかし非常に重要であり、棚上げにしてしまってはいつまでも解決しない厄介な問題といえる。
このような問題を解決しようと日々いくら熟考しても、一向に解決策を見出すことはできない。いったいどうしたらよいのか?分らないので、とりあえずそのままにしておくことしかできない。それ以上に、日々はやるべきことがいっぱいで、いつも緊急で重要な問題を片付けていくことに集中せざるおえない。

こんな状況を打開し、人生をよりよいものにするためにイメージ・ストリーミングを知った。これは言わば人間の可能性を信じた手法である。五感を研ぎ澄まし、想像力を働かせ、イメージを捉えて、表現していくことで、今までの視点を変えた新しいアイデアを発掘し問題を解決していく。

現代では科学的根拠が欠けているものに対して懐疑的にならざるおえない社会通念がある。事実このような手法は、眉唾であったり、怪しげで嘘っぽいと判断されやすい。目に見えないものは信じられないというわけだ。客観性や数学的立証ができないものは価値がないのである。

しかし、人間の脳の中のすべての働きを誰が理解していようか。思考の行き着く先を誰が完全に把握していようか。大切なのは理論より実践なのである。そんな気にさせる本だった。